「ヨーク軍も、もうここへは戻りません。私はこれからアキト軍とレン様を守りつつ、王宮へ無事に送り届けて参ります。」




だからこの場を託せるのは、もうあなたしかいないのだと。


私はクロード将軍へ伝える。





「…奇妙な戦だ。姫様、あなたが相対していた敵は一体誰だったんですか?」


「……。」


「言えない敵ですか。ノイン将軍と、ヨーク将軍はその敵に寝返ったと?」


「…そうですね。寝返ったというより、元々彼等はその敵の駒の一つだったんでしょう。全ては見抜けなかった私の責任です。」





ここでエリクの名を口にはしないが。


クロード将軍は、たぶん何となく薄々気付いている気もしている。






「事後報告で申し訳ございませんが、ディオン城の敵将と側近を昨夜討ち取りました。」


「姫様が昨夜城へ…!?」


「他にも憂いがあれば私が消して参ります。なのでどうか、この城の後処理をお引き受けいただけませんか?」




分かっている。


戦も大変だけど、その後の後処理がどれだけ煩わしいものか。私も良く知っている。



だから、こうして頭を下げにきた。