私はるうと急いでクロード将軍の元へ。



野営地は、かなり困惑している。




ノイン将軍が戻らないことで、将を失った軍は失意に満ちている。


そしてヨーク軍については、軍ごと忽然と姿を消している。




そこへ城に上がった白旗。




もう何が何だか分からないというのが、きっと彼等の本音だろう。






「クロード将軍。」


「姫様、これは一体…。」


「…人払いをお願いいたします。」




あまり兵たちに聞かせたい話ではないので、クロード将軍とだけ話したいという私の意を汲んでくれて。


クロード将軍の天幕で話すことになった。





「…お怪我を?」


「大した傷ではございません。」




るうもこの場にいてもいいと言ってくれたので、傷だらけの私とるうを見て心配の声を掛けてくれる。





「…クロード将軍に、お願いがございます。」


「あまり、良い予感はしませんね。」




「残されたノイン軍と共にディオン城を開城し、セザールの新たな城として陛下へ献上ください。」




それが、将に裏切られたノイン軍へのせめてもの情けだった。


開城に貢献したとなれば、将軍がどれほど愚かなことをしたとしてもその兵たちは救うことが出来るだろうと考えたから。