(一)この世界ごと愛したい





天幕の中、二人でごろんと横になる。




けど正直私はレーダー作動中で、まだあまり気持ちは休まらない。


横になった途端、忘れかけてた睡魔が顔を出すが気合いで振り払う私。






「…リン。」



「うん?」







「俺は…近すぎて、お前をいつの間にか見失ってたんだな。」





るうは自分を責めているように見えるけど。


それは違うんだよ。





「たぶん、るうも不安に思ったでしょ?」


「……。」


「私も思ったよ。これじゃ本当に私は、ただ戦うだけの戦の化身になってるかもなって。だから言ったの。」





夜襲で迷いも躊躇いもなく多数の人を斬る私を、るうはきっといつもとは違うと流石に気付いただろう。




私は、無意識に目を伏せる。








「…いつからだよ。」


「もう分かんない。でもアレンデールでの戦とはやっぱり勝手が違うなって、改めて思った。」




私をただの人間に引き戻してくれる人が、私を見てくれる人が後ろにいるかいないかで、全然違った。


アレンデールの兵たちは長い付き合いだし、ちゃんと私を見ていてくれるけど。




このセザール軍、そして敵対するディオン軍さえ、私を戦神として扱うから。






「…るうがいてくれて、本当によかった。」


「……。」


「見失わずに、戻ってこられた。」