(一)この世界ごと愛したい




もう本当に申し訳ないです。


ここまでボロボロなるうを久々に見たもので。私は思わず俯く。




「…痛くねえし。どちらかと言うとお前の方が重症だろ。」


「そんなことないよ!私はまだまだ大丈夫っ!」




「どっちも重症だから。」




どっちが重症か争う私とるうを、レンがピシャリと止める。




…今のレンは怖いです。


あの足を怪我して三日間拘束された日々が、無意識に蘇ります。





「…さて、アキト戻ってこないし。俺は外の様子見てくるね。」


「うん。トキ、本当にありがとう。」


「恩賞忘れないでね?」


「もちろん!約束通り全部あげます!!」




一体いくら貰えるものなのかは疑問ですが。





そしてるうの治療が終わったレンは、重症患者である私たち二人を見て、また深く溜め息を吐いた。




「本来なら絶対安静。」


「無理だな。」


「とにかくもうあんまり動かないこと。二人ともそれぞれ固定した深めの傷が開けば命に関わるからね。」




圧に押され、私とるうは頷く。




「じゃあ俺も少しアキトに用があるから、今は少しでも横になってて。」


「…はい。」