だよねと。
トキが再度考え込むので。
「あと一時間あればこの雨はもう止むから。それからの移動で大丈夫。」
「リンは天候が読めるの?」
「あれ、アキトに聞いてない?」
トキはアキトを睨む。
そしてアキトは私を睨む。
「お前が誰にも知られたくねえって言ったんだろ!?」
「敵にはね。知られていいことないもん。」
「…トキ聞け!悪気はなかったんだ!!!」
アキトはトキに、雨の中天幕から蹴り飛ばされて外に飛んでいった。
…うん、なんかごめん。
「それで“動くな”の指示か。そんな策を思いつくのも実行するのも最早恐ろしいよ。」
「…ごめん。」
「結果リンが正しい。敵を欺くためにはまず味方からってことでしょ。」
仰る通り。
この丘に布陣を構えることで、火攻の可能性を考えた。
どうしてもこの丘の利を手放したくない私は、丘を手放す方法ではなく、火攻を無効化する方法を選択した。

