(一)この世界ごと愛したい





なんか、色々と…。





「…軽率ですみません。」


「……。」




まだまだ怒ってるレン。


そんなレンの服に血がついているのに気付いた私は、思わず手を伸ばす。





「…怪我?」


「俺の血じゃない。」


「よかった。約束守れなかったのかと思って焦ったじゃん。」




レンは大きく溜め息を吐く。


それはもう呆れたように、怒ったように。






「…でも、まだだよ。城は落としたに等しいけど、まだ終わってない。」


「一応重症だから動かないでほしいんだけど?」


「もう少しだけ!」




時期に夜が明ける。


そうなったらクロード将軍に城を託して、そこから雨が止み次第アキト軍とレンを国へ帰さねば。



その道中も、まだ油断ならない。





「とにかく今は大人しくしてて。ルイも見た感じ危なそうだから連れてくる。」


「…確かに。」




レンは再び天幕の外へ出て、るうを連れてきた。





むすっとしているるう。


さらにアキトとトキも一緒にきて、天幕がもう狭く感じる。





「リン大丈夫そう?」


「なんとかー。」


「出来るだけ早めにこの丘から降りようと思うんだけど行ける?」


「私とるうも含めて、みんなの体力的に雨の中での移動はきついかもー。」