「……。」
「……。」
人の感情とは難しいものだ。
つい数時間前、幻聴でなければ私のことを好きだと言ったはずのレンだけど。
今は絶対嘘だと思えるほど無表情。
「…一応勝ったよ?」
「…うん。」
「初陣初勝利だよ?」
「そうだね。」
さ、冷めてる…!!!
私初陣で初勝利の時なんて、胴上げしてもらって盛大に喜んだの覚えてるけど!?
「もう少し喜んでもいいじゃん?」
「……。」
「…不謹慎でしたごめんなさい。」
すんごい顔で睨まれたので謝る私。
そうかそうか。
医術師のレンと軍人の私とでは、勝利に対する価値観が違うんだ。
「…理解が出来ない。」
「うん?」
「仮にでも結婚した相手が、こんなに傷だらけになってるのに。勝ったからって喜ばなきゃいけないのが戦なら、俺はやっぱり二度とごめんだよ。」

