(一)この世界ごと愛したい





あまりにも二人が心配そうな顔で私を見るので、私は思わず笑ってしまう。





「笑い事じゃないから。」


「トキ、約束守ってくれてありがと。」


「リンの“おまじない”が発動する前までは正直、もう呪ってやろうと思ったけどね。」


「トキの呪いは怖そうだからやだなー。」





本当に、間に合ってよかった。




「トキ、悪いけどあんまりゆっくりは出来ないよ。知ってると思うけど、エリクもヨーク軍もまだ遠くへは行ってない。」


「分かったから、こっちは任せて。」




その頼もしさが有り難い!!!





これで、少しは安心出来る…かな。



私はレンの腕の中で、ようやく少しだけほっと一息つくことができた。






「……。」


「……。」




天幕で。



私を黙々と治療するレン。




服の下の割と際どい部分も特に気にせず。それはもう淡々と素早く的確な処置を施してくれる。



別に狼狽えてほしいわけじゃないんだけど。





…なんか怒ってない!?