「…自分が怖いの。」
「……。」
「もう、このままじゃ…きっと。私は私じゃなくなる気がする。」
「…リン?」
「私は…戦神になんて、なりたくなかった。」
だけど、それでも奇跡を。
この丘に留まり戦い続けた人たちを守る力を。
「…でも、私はそれができちゃうから。」
仰いだ空から。
大粒の雨が降り注ぎ始める。
「だからまた結局みんな私を、戦神だって…言うんだろうね。」
その雨たちが、丘の炎を消し去ってくれる。
炎が消えたお陰で、丘へ足を踏み入れることが出来た私とるう。
るうは不思議と何も言わない。
ただ私の横で、肩を並べて歩いてくれている。
「…遅くなってごめんね。」
丘をやっとの思いで登った先に、その頂上付近に固まっていたアキト軍の皆さんがいて。
あまりにボロボロな私達に驚いている。
炎を消し去る恵みの雨は有り難いけれど、疲れた身体と、傷口には少し辛い。
凝固しきれない血液がドクドクと流れ出る。
「リンっ…!」
「…レン、ただい…ま。」

