(一)この世界ごと愛したい






「…るう。」



「…ああ、行こう。」





約束したからね。



私はちゃんと、丘に行かなきゃいけない。






疲れは正直忘れられている。


けど思いの外深い傷もあり、血が足りない。



るうもたぶん同様で。




私を守るために、私が動きやすいように、無意識に動いてしまうるうだから。



無茶な戦い方には怪我が付きもの。



るうの身体から、滲み流れる血が私を虐める。





「だから守らなくていいって言ったのに。」



「んなこと言ってる場合かよ。」





炎は、広がり続ける。



火を放っただろうヨーク軍は、もう近くにはいないようで。





レーダーで探索するも馬で移動したんだろう。


探れる位置には、もう敵はいない。







燃え盛る丘を前に、私は天を仰ぐ。









「るう。」



「悪いがこの炎の中には入らせねえからな。」



「入らないよ。」






入る必要は、もうない。



るうは私が飛び込むと思ったのか。不思議そうに、心配そうに私を見る。