「…るう。」
「…ああ、行こう。」
約束したからね。
私はちゃんと、丘に行かなきゃいけない。
疲れは正直忘れられている。
けど思いの外深い傷もあり、血が足りない。
るうもたぶん同様で。
私を守るために、私が動きやすいように、無意識に動いてしまうるうだから。
無茶な戦い方には怪我が付きもの。
るうの身体から、滲み流れる血が私を虐める。
「だから守らなくていいって言ったのに。」
「んなこと言ってる場合かよ。」
炎は、広がり続ける。
火を放っただろうヨーク軍は、もう近くにはいないようで。
レーダーで探索するも馬で移動したんだろう。
探れる位置には、もう敵はいない。
燃え盛る丘を前に、私は天を仰ぐ。
「るう。」
「悪いがこの炎の中には入らせねえからな。」
「入らないよ。」
入る必要は、もうない。
るうは私が飛び込むと思ったのか。不思議そうに、心配そうに私を見る。

