(一)この世界ごと愛したい





いつまでも剣を受けさせてやるほど、私は弱くはないし。優しくもない。



徐々に徐々に、エリクの兵は減っていく。





「その姿を見られたことが今宵の戦果だ。」




そう言って、エリクは兵を引く。



ここまで戦い続け走り続けてきた私は、もう肩で息をするほど疲れの色が出る。







「もう充分だよ。後は君が私の元に舞い降りて来るのを待つとしよう。」





そう言って、時は満ちたと言わんばかりに。


エリクは残党を連れてこの場から立ち去る。








そして次の瞬間。




私とるうの目に飛び込んできたのは。













黒煙を上げ、炎を纏う丘。