(一)この世界ごと愛したい





エリクの私兵たちが、私を引き止めるつもりか剣を抜く。



…意外だな。





「エリク様が私に剣を向けることもあるんですね。」




勉強になります。


てっきり私には無害だと思ってたよ。





「ご安心を。単なる足止めです。」


「それに何の意味があるんです?」










「本陣にいるレンが滅ぶまで、姫にはここに居ていただきたい。」





何故私が、黙ってそれを受け入れると思うんだろう。






「では、力尽くで通ります。」




私は今日何度目か、また剣を抜く。



るうも戦闘体制。








早く終わらせて、とにかく丘へ行きたい。








その一心で、私はまた敵を屠る。




しかし流石はエリクの私兵だけあって、私への攻撃は全く敵意がない。



寧ろ受けるばかりで。



時間稼ぎというのはどうやら本当のようだ。