(一)この世界ごと愛したい





城からの脱出に成功し、戦いの真っ只中である丘へ急いで向かう。




「間に合うか?」


「アキトとトキがいる上に砦の仕上がりは完璧だし、大丈夫だよ。」




るうが不安に思うのも無理はない。


恐らく丘は全包囲されて、アキト軍に退路がなくなっているように見える。





「せっかくここまでアキトを温存したんだから、せめてここで大いに活躍してもらおう。」


「お前は一体開戦前から何手先まで読んでたんだよ。」





基盤と駒を使った模擬戦なら、何万回と戦った。



何度も何度も敗れながら。


ありとあらゆる可能性を考えて。それに対する対策を練った。







そんな私の計略を。



真っ向から打ち砕かんとするのが。







…エリクという男だ。







広範囲に広げたレーダーでエリクらしき人を探知できたが。



私は不思議で仕方ない。



この私の向かう先にいるのは間違いないけど、そこは丘からまだ少し距離がある。じゃあ今、丘を攻めているのは誰か。





避けて行こうと思えば避けれたが、恐らくエリクも私がそこに現れるのを待っている。





策と策で対決を始め、どれくらいの月日が流れただろうか。



エリク対私の、軍略合戦。





その大将同士がようやく戦場で相見える。