「…リン。」
「ん?」
「…いや、なんでもねえ。」
るうは何かを言いかけてやめた。
大丈夫だよ、まだ。
ハルが目覚めたら、きっと。
濁流のように襲い来る漠然とした何かから、ハルは私を助け出してくれるから。
「…本陣が心配だから、もど…ろ。」
「リン!!!」
疲れはピークな上。
血を流しすぎたのか、少し眩暈がする。
そんな私を支えるるうも、決して元気とは言えない姿で。
「二人でこんなボロボロなの、いつぶりだっけ。」
「餓鬼の頃以来じゃね?」
思わず笑ってしまう。
元気ではないけれど。
約束したからには、行かなきゃ。
「走れる?」
「問題ねえよ。」
そうして、丘に向けて走り出す私たち。
城内へ入るのは難しいが、出るのは容易い。それに敵将に何かあったことに薄々気付いている兵もいるから。
もうこの城には覇気がない。
実質城を落としたと言っても、過言ではない状態だった。

