(一)この世界ごと愛したい






「…リン。」



「ん?」



「…いや、なんでもねえ。」





るうは何かを言いかけてやめた。





大丈夫だよ、まだ。



ハルが目覚めたら、きっと。





濁流のように襲い来る漠然とした何かから、ハルは私を助け出してくれるから。







「…本陣が心配だから、もど…ろ。」


「リン!!!」




疲れはピークな上。


血を流しすぎたのか、少し眩暈がする。




そんな私を支えるるうも、決して元気とは言えない姿で。






「二人でこんなボロボロなの、いつぶりだっけ。」


「餓鬼の頃以来じゃね?」





思わず笑ってしまう。


元気ではないけれど。




約束したからには、行かなきゃ。





「走れる?」


「問題ねえよ。」




そうして、丘に向けて走り出す私たち。



城内へ入るのは難しいが、出るのは容易い。それに敵将に何かあったことに薄々気付いている兵もいるから。




もうこの城には覇気がない。





実質城を落としたと言っても、過言ではない状態だった。