(一)この世界ごと愛したい






「…これ、城まで持つかな。」



途端に不安になるが、泣き言は言ってられないので。





「だっ、誰だ!!!」



私を見て、大声を上げた敵兵のせいでそれはそれは次から次へと。


斬っても斬っても敵が来てしまう。




まだ私が何者かは理解していないんだろう敵兵たちは、私に殺意を持って挑んでくる。






「っ…!!!」



その殺意に注意を向けすぎたせいで、どこかに潜む弓兵に気付くのが遅れる。



このパターンも稽古すべきだったなー。



ここにきて暗闇が私にとっても裏目に出る。矢がほとんど見えません!!!





このままここにいても良い的だな。


もう登りきるだろうるうにも危険が及ぶ。




出来る限り人数を減らしたところで、ひょこっとるうが顔を出したのを確認した私。






「遅いっ!!!」




もう周りも気にせず怒り、そのままるうを掴んで城内に飛び降りる。