淡々と。
素早く。そして静かに。
夜の静寂を壊さないように。
「っ!?」
私が脚を掛けた時、最後の一本と言うところでポキッと折れた矢。
反射的に私は崩れた体制を戻し、そのまま城壁の天辺に手を掛ける。
…危なっ!!!
腕の力一本で城壁にぶら下がった私。
そろりと上を覗くと。
意外と見張りは少ないように思えた。
この一角を殲滅するだけなら、きっと周囲に気取られはしないだろうけど。
呻き声を上げさせることなく瞬殺しなくてはならない。
ごめんね。
と心の中で謝罪をして。
私は城内へ侵入し、ものの数秒でこの場を占拠。
それはもう電光石火の早業で。
周囲に誰もいないのを確認して、城壁から下へ持ってきたロープを下ろす。
ロープの先を城壁の上にしっかり固定。
これでるうは勝手に上がってくるだろう。

