「そろそろ行くね。」
レンと、アキトにトキも揃っていたので。
私は三人へ向けて行ってくるねと伝えた。
「アキト、みんなをよろしくね。」
「当たり前だ。」
アキトが力強く応えてくれると、とんでもなく安心できるんだよね。
「よーし。」
「…嫌な予感だ。」
「城まで競争しようか、るう?」
「ああ!?」
何年ぶりかの、かけっこをしよう。
ハルのことを考えてたら、なんかハル的なノリもいいなと思った私。
「無駄に体力使うなよ!?」
「だよねー。私に適うわけないもんねー。」
「はあ!?誰が敵わねえって!?」
「残念ながら今の私に追いつくなんて無理ですよー。」
これから夜襲に行くとは思えないほど、和やかな私とるうを。
三人はただポカンと見ている。
準備体操に、ぴょんぴょんと跳ねる私。
「あ、そうだ。」
私はそんな三人に向き直り、一言添える。
「私がおまじないを掛けといたから。何があっても動かない約束、ちゃんと守ってね?」
それだけ伝え、私はるうとほぼ同時に駆け出した。
夜の闇に紛れつつ。
誰の目にも止まらぬ速さで。

