(一)この世界ごと愛したい






「そろそろ行くね。」




レンと、アキトにトキも揃っていたので。



私は三人へ向けて行ってくるねと伝えた。





「アキト、みんなをよろしくね。」


「当たり前だ。」




アキトが力強く応えてくれると、とんでもなく安心できるんだよね。







「よーし。」



「…嫌な予感だ。」



「城まで競争しようか、るう?」



「ああ!?」




何年ぶりかの、かけっこをしよう。



ハルのことを考えてたら、なんかハル的なノリもいいなと思った私。






「無駄に体力使うなよ!?」


「だよねー。私に適うわけないもんねー。」


「はあ!?誰が敵わねえって!?」


「残念ながら今の私に追いつくなんて無理ですよー。」





これから夜襲に行くとは思えないほど、和やかな私とるうを。



三人はただポカンと見ている。







準備体操に、ぴょんぴょんと跳ねる私。






「あ、そうだ。」




私はそんな三人に向き直り、一言添える。








「私がおまじないを掛けといたから。何があっても動かない約束、ちゃんと守ってね?」





それだけ伝え、私はるうとほぼ同時に駆け出した。





夜の闇に紛れつつ。



誰の目にも止まらぬ速さで。