(一)この世界ごと愛したい





しかし、この勢いで南門が壊滅すると必然的に敵は北門に集中してしまう。



諦めるとは言ったものの、この拮抗した力加減がなんとも難しいと作戦思案中もずっと課題だった。





「まずは、兵を一旦引いてください。」


「それではヨーク将軍に迷惑がかかります!」


「ほんの僅かでいい。今は兵たちに呼吸を整える時間を与えてあげて下さい。」




そして、兵を一度下げる指示を出す。






「るう。クロード将軍のところに行って、指揮官一人借りてきて。」


「分かった。お前も無茶するなよ。」


「うん。」




るうを北門へ走らせ、私は再度南門へ目を向ける。






「姫様!兵を一度下げました!」


「私の言う通りに指示をお願いします。」




こうして。予定してはいなかったが、南門の指揮を取り始める私。



その間に、恐らくエリクに丘の本陣を知られることになる。






けど、まだ大丈夫。



知られるのは元々計算内。


バレないなんてあり得ない。




だからこそ、トキに砦化を頼んだんだ。