(一)この世界ごと愛したい





南門に到着すると、まず負傷兵の多さに驚く。




一体どんな策で挑めばこうなる。


…いや、何も講じなかったのか。




南門が全てが崩壊しているわけじゃない。ヨーク将軍はまだ毅然として奮闘を続けている。




この負傷兵はノイン将軍の兵たちだ。





「……。」




兵はいるが、肝心のノイン将軍の姿がない。



恐らく本陣の探索だろう。


味方にも丘のことを黙っていてよかったと心から思う。







しかし、例えどれだけ純粋な思想だとしても。



自分の兵をここまで犠牲にする将軍など存在してはいけない。




私は思わず手に力が入る。







「ひ、姫様…!」


「ノイン将軍の隊の方ですか?狼煙はあなたが?」


「申し訳ございません!将軍の姿が忽然と消え、私ではどうにも出来ずっ…!!!」





この人はノイン軍の副将だろう。


ノイン将軍の行方は知らないようで、ただ始まってしまった城攻めの攻略が難しく狼煙をあげたと言う。





「どうか顔をお上げください。大丈夫です。将軍はちゃんと戻りますし、運良く私がここにいます。」


「姫様…。」


「あなたが前を向かねば、兵はもっと困惑します。今は気を強く保ってください。」




捨て置けと言っても見捨てられないのは、私も同じだね。






…レン。