(一)この世界ごと愛したい






「始め!!!」




クロード将軍から再び号令がかかる。



そして南門も同じタイミングで城攻めを始めたようだった。





ここからは私のレーダーを駆使して、怪しい動きを探り続けなければならない。



骨が折れるが、致し方ない。




通常の城攻めでは私の出る幕はあまりないので、クロード将軍に一旦よろしくと頼んだ。




助けが必要な場合は各将軍に狼煙で合図するように伝えてある。


多少離れても問題ないだろう。






「…本陣の様子見に行こうか。」




ということが決まり。



私はサクの馬から旗を外し、北門にいる兵へ適当に掲げておいてほしいと伝え預ける。



甲冑に付けた赤い布も捨て、今度は出来るだけ目立たないよう、そっと戦場から離脱。


丘まで迂回しつつ向かう。






「砦完成してるかなー。」


「さあな。」




不謹慎だけど、少しわくわくしながら丘へ駆け抜ける。