(一)この世界ごと愛したい





チラッと丘を見ると、既にトキが動いているのが分かる。




本当、頼もしい人だ。







「そろそろ入る。るう、一旦後ろ任せたよ。」


「分かった。」




私はるうの返事を確認して、さらにスピードを上げ。


完全に単騎で敵左翼に向かって。





…跳びました。



シロはそのまま走り続ける。






私は空から敵の懐に入り込み、精鋭だろう一隊に風穴を開ける。



敵の怒号と、自軍の歓声が聴こえる。




私は一先ず周囲の兵を一網打尽。


ただただ斬って斬ってを繰り返す。




その内に、私の二百騎も風穴から流れ込み。敵左翼はほぼ全壊。






私の着地地点で待つシロに再び飛び乗り、予定通り左翼を通過し敵陣背後へ回る。




はい。


これが挟撃です。




前から来る本隊と、後ろには私の隊。





絶対に後ろは抜かせません。







「おいコラ、飛ばしすぎだろ。」


「あ、みんな大丈夫?」




開戦前あんなに怯えていたサクは、それはもう目を輝かせていて。





「リンちゃん強すぎ!!!」


「元気そうでよかった。じゃあ次行くよー。」