「行くぞ。」
「……。」
硬直状態は入れ替わり、私は驚きで瞬きしかできない。
…何が起こったの。
キス?
るうが?私に?どうして?
「…悪い。」
「いや、謝られても…。」
「…殴っていいぞ。」
別にそこまで、することでも…ない、のか?
もう頭は大混乱だけど。
すぐに、私の煩悩は掻き消された。
「姫様ーっ!!!」
「いってらっしゃいませ!!!」
「お気をつけてー!!!」
そんな歓声が馬車の外から響き渡る。
驚いて馬車の窓を開けると。
そこには溢れんばかりの国民と、家族たちが私を見送ってくれていた。
みんな両手にたくさんの花びらを抱えて、その花びらをひらひら舞い上がらせるように。
たくさんの人たちと、花びらのシャワーが降り注ぐこの景色を目に焼き付けた。

