(一)この世界ごと愛したい






「遅え。」


「ごめんごめん。サク合図いいよー。」




遅れて配置についた私に、すぐ文句を言うるう。



そして準備完了の合図をクロード将軍へ出すようサクに頼む。




指示通り合図に使う、即興で作ってもらった例の旗を掲げるサク。


この旗はせっかくなので、まだ使ってます。



このままサクの馬に装備させてもらって、敵の懐に侵入します!





「俺が真っ先に狙われそうっすね。」


「心配ないよー。その旗は私の居場所を示す目印にするだけ。始まっちゃえばその旗より目を惹くのは私だから。」


「やっぱリンちゃんかっけー!」




後ろの二百人隊の人たちにも、改めてよろしくと簡単に伝えて。



クロード将軍の号令を待つ。








「あ、そういや加減どうする?」


「決めてなかったねー。」


「十でいいのか?」


「手加減してお借りしてる兵に怪我させたんじゃ、アキトとトキに会わせる顔ないもんねー。」





あまり晒したくないけど、もう仕方ない。



…ならば、いっそ。











「最初っから全速全開、二十で行こうか。」