サクはぽかーんと。


開いた口が塞がらない様子。




「敵兵と…城の間に入って、城からさらに援軍送られたら挟撃されます…けど?」


「それはないよ。平地に降りてきた兵は恐らく私の力量を測るための布石。頭の良い将なら、測り間違えた後にさらに私の前に兵は出してこない。」




逆に敵将の頭が悪くて、援軍出してくれればそれはそれでより戦力削れてラッキーかな。



とにかく今晩の夜襲のために減らせるだけ敵は減らしておきたい。






「…って、一番しんどいところお願いすることになっちゃうんだけど。サクどうする?」


「どうするって…。」


「無理強いはできないから。出来るか出来ないかはサクが決めて。」




強制したって仕方ない。


気持ちが臆せば、動きが鈍る。



今回は拝借してる二百人だし。私としても出来れば無事に綺麗なままお返ししたいところ。





「俺、トキさんも大概めちゃくちゃな作戦言ってくる時あるなって思ってましたけど。リンちゃんはもう次元が違いますね。」


「トキの作戦ってすごく緻密で繊細だから、戦いやすそうだよねー。」


「正直荷が重いですけど、精一杯頑張ります。」




サクは頑張ると言ってくれた。




ならば、私も応えよう。




私はそんなサクの顔に手を添えて、私なりの心からの檄を伝える。










「もし辛くなったら、私だけを見て。私を追いかけて来て。道は絶対に開いてあげる。」