(一)この世界ごと愛したい





よっぽど疲れていたんだろうアキトは、ほんの数分で寝息を立てる。



私はその寝顔を少し眺めていた。




随分と助けられたこの人に、私が返せるものはあるんだろうか。





そんなことを考えていると、天幕の入り口が開かれる。





「……。」



入ってきたのはるうで。


私を抱えて眠るアキトを冷たい目で見ているが、そんなるうに私は静かにと、合図を送る。




するりとアキトの腕の中から抜け出して、るうと天幕の外へ出る。







「さっき寝たところだから寝かせてあげて?」


「起きたら止め刺す。」


「刺さなくていいからねー。」



一先ずみんなを起こさないように野営地から少し離れる。





「…お前にしては大人しく天幕に入るなんて、珍しいな?」


「断ったんだけどねー。」



一応は。


アキトにまんまと言いくるめられましたが。




「アキトに問題ないって言われたら、変に私が出しゃばるのも良くないかなって。」


「へー。それでどうなったらあの状況になるわけ?」


「あれは…。」




天幕でのことですよね。


そうなんですよね。




先に飛びついたのはどちらかというと私なので。でもそれをるうに言うのって、どうなの?


だからって隠すのも、どうなの!?