(一)この世界ごと愛したい




アキト軍だけなら、ここから見渡せる。



気付く人は私に気付くだろう。




月明かりを浴びる私は、ただそこに座って今後の戦の展開について想いを馳せる。





「天女様だ…。」


「なんて幻想的な景色だ。」




気付く人は、気付く。



アキト軍にはこれくらい背中を押すだけで事足りるだろう。




不安な人はちゃんと寝てて大丈夫だよ。


私がここで目を光らせてるからって。




…そんな想いが届くと嬉しい。




膝を抱えていた人たちが、私を見上げて不安の色が和らぐのを感じる。


横になって休む人が割と増えた。







「…良い夢を、見られるといいね。」




そう願わずにはいられない。



ここにいる人間の、何人が生きて帰れるかは分からないから。













「お前はまじで神になるつもりかあ?」


「アキト?」



私のいるこの崖に、アキトも登ってきた。




「あ、ごめん。戻ってきたの伝え忘れてた。」


「構わねえよ。」


「今ようやく休めた人もいるから静かにね。」


「ああ。」



アキトと二人。


静かに野営地を見下ろす。