アキト軍だけなら、ここから見渡せる。
気付く人は私に気付くだろう。
月明かりを浴びる私は、ただそこに座って今後の戦の展開について想いを馳せる。
「天女様だ…。」
「なんて幻想的な景色だ。」
気付く人は、気付く。
アキト軍にはこれくらい背中を押すだけで事足りるだろう。
不安な人はちゃんと寝てて大丈夫だよ。
私がここで目を光らせてるからって。
…そんな想いが届くと嬉しい。
膝を抱えていた人たちが、私を見上げて不安の色が和らぐのを感じる。
横になって休む人が割と増えた。
「…良い夢を、見られるといいね。」
そう願わずにはいられない。
ここにいる人間の、何人が生きて帰れるかは分からないから。
「お前はまじで神になるつもりかあ?」
「アキト?」
私のいるこの崖に、アキトも登ってきた。
「あ、ごめん。戻ってきたの伝え忘れてた。」
「構わねえよ。」
「今ようやく休めた人もいるから静かにね。」
「ああ。」
アキトと二人。
静かに野営地を見下ろす。

