世の中はどうして、こう単純ではないんだろう。
「…レン大丈夫?」
「正直疲れる。けど、大丈夫だよ。」
顔に疲れたって書いてるもんね?
無理もない。慣れない進軍で、私はさっきまで休めてたからいいけど、レンは休まずここまで良く頑張ってると思う。
アキト曰く、レンは体力ないらしいし。
「…少し予定変えようかな。」
「え?」
「次のヨーク将軍のとこ回り終わったら、アキトのとこは少しやり方変えるね。」
そもそもアキト軍は私が士気を上げなくても、アキトが何とか出来るだろうし。
兵の不安だけを取り除くことを考えよう。
「…姫はやっぱり凄いね?」
「今日はもう一生分褒められてる気がするよー。」
もう頭が混乱するほどに。
自分でそうなるよう仕向けたものの、予想を上回る兵たちの猛烈な熱。
「もう一踏ん張り、頑張ろ!」
「うん。」
そうして、次のヨーク軍も同様に将軍へ挨拶してから、各野営地を回らせてもらって。
この三軍を回るだけで、もうかなりの時間を費やした。
アキト軍へ戻る頃には、既にごろんと寝ている人もちらほらいるけど。
中には膝を抱えて丸くなってる人もいる。
「じゃあ戻ろうか。」
「本当に回らなくていいの?」
「うーん。寝れる人は寝かせてあげたいし、ちょっと私も考えてみる。」
一先ず天幕へ戻る私とレン。
るうと一緒の天幕を使うレンと、そっとその天幕を覗くと。
るうは横になって大の字で寝ていて。
「…じゃあ、レンもゆっくり休んでね。」
「君も無茶しないでよ?」
「私は大丈夫。」
るうを起こさないように、私は足早に立ち去る。
そして、アキト軍野営地の脇にある崖をぴょんぴょんと登る。

