(一)この世界ごと愛したい






「…万全ですか?」


「え…。ひ、姫様!?」




不意を突かれた兵は、私の姿を見て驚く。



派手な格好にセザールの旗を側に置いた私を、どうか存分に崇めてくれ。






「戦神の姫だ!!!」


「我々に神が力を貸してくれる!!!」




よしよし。


大いに騒ぎ立ててくれ。





「これから軍の隣を並走します。行軍の邪魔はしませんので。」





そう伝えて、私はるうとほどよい速さでクロード軍の横を走る。



金の髪と、セザールの旗が風に靡く。








神が舞い降りた、と。




シロが身を震わせるほどの歓声の地響きが、私の背中を押してくれる。







「…上々。」




この上ないほど今この時、兵の士気は頂点へと達しているだろう。





そのまま並走を続けるため、その士気は前へ前へと伝わる。






ついにはクロード将軍に追いついたが、声を掛けてもこの大歓声の中で会話は難しいと判断した。



私は一先ずクロード将軍へ頭を下げると、ただ微笑みを返してくれた。