「トキふざけんな!俺はっ…!」
「ヘタレないで早くして。」
ピシャリとアキトを黙らせるトキ。
え、嘘だよね…?
まさかそんなことで士気が上がるなんてあり得ないよね!?そして本当にしないよね!?
「…リン、悪い。」
「へ…?」
チュッと、アキトの唇が私の額に触れた。
その瞬間地響きのように大歓声をあげるアキト軍。
「戦神は隊長の女だー!!!」
「不倫万歳!!!」
「おっしゃ死んでも守るぞー!!!」
…なるほど。
世の中にはまだまだ私の知らない士気の上げ方があることを知りました。
「やっぱヘタレ。」
「なっ…トキてめえ!!!」
そして小競り合いを始めた二人。
私は大歓声の中、数人に囲まれて身動きが取れなくなっていた。
「戦神さん!」
「あ、リン…です。」
「名前で呼ぶなんて恐れ多いっす!」
「是非とも名前の方がいいです。」
戦神さんって絶対やだよ!?
てか姫呼びの概念は持ち合わせてないんだね!?
「じゃあリンさん?」
「敬称いらないです。」
「うわ、無理っす!さすがに死にます!」
「死なないです。本当に気楽でいいです。」
それはそれはまるで乙女のように、悶えながら私の名前を呼びまくる兵たち。
結果、“リンちゃん”に辿り着いた彼等。
なんとも可愛らしい兵たちだ。
ちゃん付けで呼ばれる経験あんまりないので、新鮮で少し嬉しい。
「リンちゃん!俺サクって言います!」
「うん、よろしくお願いします。」
「固いのやめてください!今回俺、リンちゃんの二百人隊の隊長やるんで、何でも言ってくださいね!」
この人が私が拝借する隊の隊長か。
すごく人懐っこい少年味溢れる子だな。
「あ、リン。サクこれでも将軍だから。」
トキがアキトの相手をしながらポロッと教えてくれた。
「将軍っ!?」
「トキさん、リンちゃんがびっくりしてますってー。」
「え、将軍なの!?」
「あー。けど俺小隊も好きなんで!」

