(一)この世界ごと愛したい





ぽつり、ぽつりと。


レンの口から溢れる言葉に耳を傾ける。






「戦に出る以上死なない保証なんかないし。寧ろ俺は狙われる側の人間だし。」


「うん。」


「もし死んだら…なんて弱気になってたら、君に笑われるかな。」





レンの紺碧の瞳に向けて。


私も自分の想いを伝えよう。






「…笑わないよ。私も同じだから。」


「え?」


「負けるかもしれない。討たれるかもしれない。大切な人を失うかもしれない。って、戦の前はいつも考えてる。」


「…意外だな。」




レンは私をなんだと思ってるんだ。


私だって人間だし。何よりハルのことがあってからは余計に自信喪失してる。





「でもね。レンも言ってた通り、引き返すこともできないから前を向くの。」


「…そうだね。」


「私は守るべきものを守る手段が戦だと思ってる。それが人なのか国なのかは戦によるけど。その信念なく人を殺めるなんて私には出来ないから。」





セザール王やエリクは、そんなこと考えたりしないんだろうけどね。