「とは言っても俺はハルに勝ててねえし。まだどうしようもねえけど。」
「ハル?」
「お前と結婚できるのはハルに勝った奴だけだって、アレンデールの鉄の掟だ。」
「…ハルっぽい。」
そもそも結婚はもうしたんだけど…。
「けど確かに。私も…ハル以上の男の人なんていないかもしれない。」
「おい、サラッと振るな。」
でも実際そうだし。
というかこんなこと戦前に…。
っていうのは私の都合か。るうは悪くない…よね。
「と、とにかく今は戦前だし。いつも通りじゃ…だめ、ですか…?」
「俺は別にお前に何も期待してねえ。」
「そ、それはそれで…。」
「それに戦前だから言ったんだよ。」
なんでそんなことするんだよ!?
「これでやっと堂々と言える。」
「…なにを?」
「俺はお前が好きだから、お前の命を最優先で守る。」
「っ!」
それはもう真っ直ぐな。
私に向けられたるうの想い。
ああ。今までもそう思って隣で戦ってくれていたのかと考えると、なんかもう申し訳なくて。
「だから、リンも気を付けろよ。」
「え?」
「仮に討たれるようなことがあったら、俺は迷わず後を追う。」
それは流石に、身が引き締まる。
というか、追わないでくれるのが一番いいんだけど。
るうの目があまりにも真剣すぎて。
頷く意外の選択肢がなかった。

