王が不在となったことで、続々と帰っていく文官たち。
…マリナ様。
もっと生きたかったよね。
痛かったよね。
苦しかったよね。
自分の夫に殺されるなんて、そんな悲しいことはないよね。
「姫、傷が残らぬよう腕の良い医術師を呼ぼう。」
私へと伸ばされたエリクの手を。
私は振り払う。
「……。」
「姫は、この馬鹿な妻を偲んでくれるのか?」
「…国とは、人です。」
私の口から言葉が溢れる。
「軽んじられる命などあってはならない。」
「……。」
「亡き父の教えを、私が忘れることはない。」
私はそこで目を開き、エリクを見る。
制御することもできない程。
怒りに燃える私の殺気を一身に受けていることだろう。
「っ!?」
私の瞳を見て、目を見開くエリク。
「いずれその身を焼き尽くす業火の炎。」
いつもの緋色の瞳とは少し違う。
耐え難い怒りの感情に苛まれた時、私の瞳は光を帯びたような紅へと変化する。
「焚き付けたのが自分だと、努努忘れるな。」

