(一)この世界ごと愛したい





王が不在となったことで、続々と帰っていく文官たち。






…マリナ様。



もっと生きたかったよね。


痛かったよね。


苦しかったよね。




自分の夫に殺されるなんて、そんな悲しいことはないよね。










「姫、傷が残らぬよう腕の良い医術師を呼ぼう。」




私へと伸ばされたエリクの手を。




私は振り払う。






「……。」



「姫は、この馬鹿な妻を偲んでくれるのか?」













「…国とは、人です。」




私の口から言葉が溢れる。







「軽んじられる命などあってはならない。」



「……。」



「亡き父の教えを、私が忘れることはない。」







私はそこで目を開き、エリクを見る。




制御することもできない程。


怒りに燃える私の殺気を一身に受けていることだろう。







「っ!?」




私の瞳を見て、目を見開くエリク。









「いずれその身を焼き尽くす業火の炎。」





いつもの緋色の瞳とは少し違う。



耐え難い怒りの感情に苛まれた時、私の瞳は光を帯びたような紅へと変化する。















「焚き付けたのが自分だと、努努忘れるな。」