(一)この世界ごと愛したい







「自分の妻の処罰くらい自分で下します。父上の手を煩わせるまでもありません。姫はこの国の宝であり、紛うことなき神の化身。


その顔に傷を付けるなど、万死に値する。」




「…片付けさせよ。」




そう言って、陛下は足早に広間を出て行った。








自分の妻を平気で斬り捨てることが出来るエリクの心境も。



それを片付けろと冷酷に言える王の非情さも。





…私には何も分からない。







ただ私はどこか懐かしくもある、身を焼かれるような怒りを感じていた。




だから私はマリナ様の側に座り。



そっと目を閉じる。





「……。」




瞳が煉獄の炎のように燃えるこの感覚がする時は。




私の緋色の瞳が色を変えてしまうから。