(一)この世界ごと愛したい




確かにこの国での掟じゃないし。


私だって別にもうマリナ様好きじゃない。





それでも、この国でも私を“姫”と呼ぶ人たちがいる以上。



…その責務は果たしたいと思う。





「はぁ。」


「間に合うといいんだけど。」


「お前は正義感の塊か。」






「…どこにいたって、私は姫だからね。」




みんなに大事にされた分だけの恩は返さなきゃだめなんですよ。



働かざる者食うべからずです。









「おいおい。手遅れじゃねえかあ?」



アキトの目線の先には、慌ただしく王宮中心部へ向かう人たちが映る。





マリナ様…。




「私先に行ってくる!」




恐らく広間だろう。




私は広間へ全力疾走。


斬られた傷が痛みはするが気にしてられない。










「姫を返せ!!!」




そんなセザール王の怒号が、既に扉の外側まで聞こえる。



私はその扉を躊躇なく開ける。









「陛下、私はここにおります。」