確かにこの国での掟じゃないし。
私だって別にもうマリナ様好きじゃない。
それでも、この国でも私を“姫”と呼ぶ人たちがいる以上。
…その責務は果たしたいと思う。
「はぁ。」
「間に合うといいんだけど。」
「お前は正義感の塊か。」
「…どこにいたって、私は姫だからね。」
みんなに大事にされた分だけの恩は返さなきゃだめなんですよ。
働かざる者食うべからずです。
「おいおい。手遅れじゃねえかあ?」
アキトの目線の先には、慌ただしく王宮中心部へ向かう人たちが映る。
マリナ様…。
「私先に行ってくる!」
恐らく広間だろう。
私は広間へ全力疾走。
斬られた傷が痛みはするが気にしてられない。
「姫を返せ!!!」
そんなセザール王の怒号が、既に扉の外側まで聞こえる。
私はその扉を躊躇なく開ける。
「陛下、私はここにおります。」

