(一)この世界ごと愛したい




「すみません、意味がよく分かりません。」


「私がここにいた頃は、皆が私を愛してくれたのに。あなたが現れたりするから。ここには私を求める人がいなくなっていた。」




それはご愁傷様です。


でもさ?私だって別に愛されてないよ?



異常な信仰心のあるセザール王とかエリクとかはとりあえず置いといて。





「あなたのような野蛮な姫が、何もかも手に入れるのが我慢ならないの。」


「…私に、どうしろと?」


「あなたを殺して、私が再びこの王宮の中心に返り咲く。」




物騒だよー。


殺してってあっさり言わないでー。





「私を、殺す…と。」


「戦神でも死が恐ろしいの?」


「いえ、それは別にいいんですけど。」



私が憂いているのはその後の話だ。


私を殺すとなるとまず陛下もエリクも黙ってはいないし。るうも荒れ狂う。





「お勧めはしませんね。」


「随分余裕ね。」


「どちらかと言うとあなたのためです。」




「馬鹿にしないで!!!」




急に声を荒げたマリナ様。



そのまま立て掛けてあった短剣を、私に向けて振る。





ツー。


頬に血が流れる感覚がする。




そんなに痛くはない。


短剣でよかったと私は思わずホッとする。