(一)この世界ごと愛したい




なるほどとレンは納得して。


香りの正体を教えてくれた。




「これ、ラベンダーの香なんだ。」


「ラベンダー?」



紫色のふさふさした可愛い花だよね。


図鑑で見たことあるけど、こんな香りがする花だったんだ。




「母が好きな花で、心を落ち着かせる作用がある。」


「すごい花だね!」




やはり図鑑で見るのと体感するのとでは、全然理解の深さが違う。


私の欠点とも言える部分だ。






そんな他愛ない話をしていたら、部屋のドアがバンッと勢いよく開く。



入って来たのはもちろん。






「リンてめえ…。」




頭に角が生えたるうさんです。





「よくも置き去りにしたな!?」


「置き去りだなんてとんでもない。私は現場の調査に行ってただけなんだよ。」


「俺を助けてからでよかったよな!?」


「いやいや、マリナ様一人には出来ないよ。あの場はあれがベスト。他にはどうしようもなかったんです。」




私はそれっぽい言葉を並べて、るうを宥めようと試みる。





「要は見捨てたんだろ!?」


「見捨てたって人聞き悪いなー。それで?マリナ様ちゃんと送ってくれた?」


「ああ。けどあの女マジで碌なもんじゃねえ。」