(一)この世界ごと愛したい





声を掛けるかどうか迷っていると。


るうがどうにかしろと目で訴えているのに気付いた。





「……。」



よし、置いていこう。



私は手遅れかもしれないが、弓矢が飛んできた方向へ足を向ける。




「リっ…!」



置いて行かれたるうが、何か声を漏らしていましたが。私の探究心は別方向を向いています。



ごめんね、るう。








「この辺りかな?」



淡々と王宮屋根に登る私。


この身軽さは本当に便利です。





「……。」



まあ、狙い撃ちするには悪くない場所。



だけども疑問だ。


辺りには特段何もなく。ここをマリナ様が通ることをどうして知り得たのか。


マリナ様でなくても、誰でもよかったのか。




…そして、殺気らしい殺気はなかった。






「きな臭いなー。」




用が済んだ私はヒョイっと屋根から飛び降りて、再び目的地であるレンの部屋へ向かった。




コンコンとドアを叩くと、驚きつつも部屋へ入れてくれたレン。





「急にどうしたの?」


「んー。なんか変なのが王宮に入り込んじゃったみたいだから、心配で見に来たの。」


「一人で?」


「…るうも、いたんだけど。」