(一)この世界ごと愛したい




そんな私の部屋のドアを叩く音が響く。



「リンー!俺だー!」


「アキト?」



ドアの向こうから私を呼ぶアキト。


私はすぐにドアを開けてアキトを部屋へ招き入れる。




…あ、しまった!


カーテン閉めてない!!!





「ん?あれレン…と。」



アキトは窓際にある椅子に座ってすぐ、中庭にいるレンを視界に捉えた。


同時にマリナ様も発見。



先ほどキスした二人だが、今はもう離れていて。ただただ仲良く話をしているだけに見える。





「あれエリクの嫁か!?」


「アキトうるさい。」


「レンの野郎浮気か!?」


「あーきーとー。」




騒ぎに騒ぎまくるアキトを何とか落ち着かせる。





「リンいいのかあ?」


「それよりトキから何か預かってるんじゃない?」


「…それよりって。てかなんで知ってんだよ。」




トキはきっと、私に丘の防衛陣の布陣を見せてくれるだろうと思っていた。


そしてそれは、私が待ちに待ったものだ。