(一)この世界ごと愛したい





悲しい…とは。



元々、お互いに迷惑な結婚話を聞かされて。


勝手に進んでいって、そんな今日を迎えているのが現状で。




でもその中でレンと一緒に過ごした時間は、今では迷惑だとは思えない。





そんなレンが、もう会えなくなるから悲しいのだと。






「……私は…」



私が口を開くとほぼ同じタイミングで、部屋のドアが開き。


るうがおつかいから帰ってきた。




「ただいま。」


「おかえり、るう。」




私は再度レンに目を向ける。




「…薬のことは任せて。」


「う、うん。」



何も言わなくていいと言わんばかりに、レンはすぐに自室へ戻ってしまった。






「そういや、なんの集まりだったんだ?」


「なんかエリクの奥さんが帰って来たんだって。」


「へー。」



るうも絶対びっくりするぞ。


あのめちゃくちゃ綺麗なお姫様見たら。




「エリクには勿体ないくらい綺麗な人だった。」


「ふーん。」


「るう興味ないのー?」


「ねえよ。」



そんなこと言ってー。


実際見たらそんなこと言えなくなるぞー。