「スーザン様、レン様もご無沙汰しております。」
そう言って王子たちへの挨拶も欠かさない。
まさに淑女の鑑のような人だ。
「あら、貴女はもしかして…。」
「え…あ、初めまして。リンと申します。」
そんな彼女に話しかけられて、私は思わずたじろぐ。
「まあ!貴女があの有名な戦神の異名を持つアレンデールの姫ですね!」
「え、ええ。はい。」
「私はマリナと申します。貴女のことはエリク様から伺っておりました。」
エリクが?
この人に?私の話を???
何それどういう話?
「戦神というからには、とても逞しい女性かと思っておりましたのに。まさかこんなに可憐な方だったなんて…。」
か、可憐だなんて!!!
あなたの方が充分可憐です!!!
「…恐縮です。」
「本当に可愛らしい方。レン様も、良いご縁に恵まれたようで私も嬉しく思います。」
「……。」
え、レン無視!?
ちゃんと返事してあげなよ!?
「あの…。」
「いいんです、リン様。」
無視するレンの代わりに、何か喋らねばと思った私を制するマリナ様。
「私は問題ございませんよ。」
花が咲いたように、ふわりと微笑む。
…絵に描いたようなお姫様だ。
「マリナ、とりあえず部屋で休んではどうだ?長旅で疲れただろう?」
「ええ。ありがとうございます、エリク様。」
最後に再びセザール王へ挨拶をして、マリナ様はエリクと共に広間を後にした。

