「…やっぱり、俺は戦は好きになれない。」
レンはそう言って、私を見る。
「好きにならなくていいと思うよー。」
「……。」
「私の心配なんてしなくていいから。」
「…それが出来れば、幾らか楽そうだね。」
つまり、出来ないってことか?
レンの不安を解消できる方法を、私は色々と模索する。
「…憶測だけど。私は戦う相手に大体どれくらいの確率で勝てるか計算するのね。」
「え?」
「夜襲で討つ将は全然知らないけど、それでも負けることはたぶんないと思ってる。だから行くの。」
負けると分かってる場所へ自ら乗り込むほど、私は馬鹿ではない。
「エリクの私への歪みきった感情を、もう見て見ぬふりはしない。」
「……。」
「ディオン兵は十中八九、私を殺さないように言われてるはずだよ。そうじゃなきゃ私だって流石にこんな無謀なことしないよー。」
…ま、これも知らんけど。
とりあえず安心させてあげようと、それっぽく言っております。
嘘ってことはないけど、確信はない。
「だから、大丈夫…ね?」
「君はどうしたって止まりそうもないね。」
レンはそう言って、少しだけ笑った。

