(一)この世界ごと愛したい





「大丈夫だよ?」


「…いや、それは…うん。」


「え、なになに?」



レンはどこか伏し目がちで。




「リン、レンの気持ちも分かってやれよ?」


「うん?」



アキトがそう言うけど、私分かってるつもりで声を掛けたんですけどね?


最初の戦はそりゃ誰だって不安だよ?





「ねえ、ルイ。」


「あー?」




「なんでルイは止めないの?」




レンがるうを責めるように言った。


止める…とは?






「…どうせ言っても聞かねえし。」


「え、私のこと?」



私を止めるってことか!?


私が止まったら負けちゃいますけど!?




「敵地のど真ん中を襲撃しに行くなんて、正気の沙汰じゃない。」


「ああ、俺もそう思う。」


「何かあっても誰も助けてあげられない。」


「そうだな。俺以外無理だな。」




普通なら第一に大将である自分の身を案じるところで、私の心配が出来るっていうのがすごいよ。


最早才能だよ。








「姫に何かあったらどうするの?」



「何もないようにすんのが俺の役目だ。」