(一)この世界ごと愛したい




恋とは、なんだっけ…?





「え、敵国の結婚相手と…恋?」


「そうじゃなくてっ!」



ママは頭を押さえて溜め息を吐く。


…違うようだ。


それはそうだろう。もし万が一にでもその通りになれば、私は恋をする相手の父をこの手に掛けることになるもんね。




「身近な人でもいいんだし、もっと周りを良く見てごらんなさい。」


「うん?」


「本来なら、国中で祝福の花を咲かせて…心からあなたの結婚を祝いたかったのに…。ごめんね、リン。」



今日のママは怒ったり泣いたり。


良く分からないけど、それでもなんだか心が温かくなった。




「ママそればっかりだね。私は平気だよ。寧ろ助かってる。」



討ちたい相手に、こんなに近付ける絶好の機会は滅多にない。





「どこまで行っても、やっぱり父親似ね。」



そう嬉しそうに笑うママの顔を見て、自然と私も笑みを浮かべた。