(一)この世界ごと愛したい




それはもう和気藹々と。


トキと少し打ち解けられた気がして、私は心の底からほっとしている。




「なんで俺がわざわざレンの女を!?」


「そんなこと言って。隙あらば掠め取ろうとしてるのバレバレだよ?」


「ああ!?んなわけねえだろ!?」




アキトは、トキを追いかけ回している。


楽しそうで何よりです。





「あ、トキもう一つお願いがあるんだけど。」


「えーもうこれ以上面倒なのは嫌だ。」



「そうじゃないよ。もし仮に私が敵将討ち損ねたら、アキト軍はレンを連れて最速でセザールに戻ってほしいの。」




万が一の話。


私が失敗すれば、本当にただただエリクの好きに蹂躙されるのを待つだけの丘だ。



だからせめて、セザールへさえ帰国が叶えば運良くエリクの手を免れる。





「…城は?」


「私が生きてたら次の日に落として帰るけど、死んでたらクロード将軍に任せてあるから心配ないよー。」


「…サラッと言うね。」


「上手くいくかは正直分かんないよ。敵将のことも私よく知らないし。化け物みたく強かったら、その時はもう潔く…と思ってます。」