まあまあまあ。
そうだよね。この子は一筋縄ではいきませんよね。
「…私に何か?」
「姫様、一つ約束してください。」
「…?」
ノイン将軍は、先程まで笑顔で溢れていたにも関わらず。今はその影もない。
真剣な表情で、私を見ている。
「この戦が終わったら、レン王子と別れてくれませんか?」
「…はい?」
レンと、別れる…とは?
この結婚はほぼ政略結婚も同じ。私の一存でどうこう出来るものではない。
「えっと、レン様との結婚は陛下が取り決められたので。私にはどうしようもないんですが。」
「お気持ちの話です。」
「き、気持ち…ですか。」
よく分かんないよ!
だから苦手なのよこの子!!!
「…残念ですが、お約束はでき兼ねます。レン様には私も恩がありますし。ノイン将軍はどうしてそのようなことを仰るんですか?」
「あの人は姫様に相応しくありません。この戦についても、総大将を務めるにも関わらず全て姫様に任せて。ご自分は何もせず、こんなのおかしいです!」
ほうほう。
一理ありますね。
マジで私大変だったからなー。
「お心遣いは嬉しいですが、レン様はレン様なりに戦っておられますよ。初陣がこんなに大きい規模での戦で、戸惑っておられるだけです。」
「だからと言って…!」
「ノイン将軍。私を案じてくださるそのお気持ちは本当に嬉しいです。しかし、そもそも私が発端で起こった戦です。私も最善を尽くして戦いたいと思っています。」
「…姫様が、そう仰るなら。」
ここで疑いが、確信に変わる。

