剣もない。
この状況でレンの盾となれるのは、私のこの身を置いて他にはない。
「…エリク様、どうか剣をお納めください。」
「姫、今私の前に立つな。少々気が立っている。姫に怪我をさせるわけにはいかない。」
エリクとレンの間に入った私。
「いいえ。決着は戦場でという約束だったかと思います。」
「……。」
「戦の雌雄が決し私が敗れれば、私のことなどお好きに出来るでしょう?」
私はどうにかエリクを宥めるように言う。
負けるつもりは一ミリもないが。
「…それもそうだな。楽しみは後に取っておこう。」
エリクはようやく、剣を鞘へ戻した。
そして、振り返ることもなく屋上から去ってくれた。

