(一)この世界ごと愛したい





剣もない。


この状況でレンの盾となれるのは、私のこの身を置いて他にはない。





「…エリク様、どうか剣をお納めください。」


「姫、今私の前に立つな。少々気が立っている。姫に怪我をさせるわけにはいかない。」




エリクとレンの間に入った私。





「いいえ。決着は戦場でという約束だったかと思います。」


「……。」


「戦の雌雄が決し私が敗れれば、私のことなどお好きに出来るでしょう?」




私はどうにかエリクを宥めるように言う。


負けるつもりは一ミリもないが。








「…それもそうだな。楽しみは後に取っておこう。」




エリクはようやく、剣を鞘へ戻した。


そして、振り返ることもなく屋上から去ってくれた。