(一)この世界ごと愛したい





エリクは私を愛おしそうに見つめて、右手を私の髪に伸ばして一束掬い取る。




「早く私のものにしてしまいたくて、日々身を焦がされている。だから無事に日取りが決まったようで安心したよ。」


「…あなたのものにはなりません。」


「こちらとてもう手段を選ぶつもりはない。だからどうかお覚悟を。」



そう言って、エリクは掬い上げた髪にキスを落とした。




…キモい!!!





「私も出し惜しみはいたしません。持てる限りの力で、必ず城を落とします。」


「ああ、君との戦は胸が躍る。」



完全に君との戦って言ってるな。


いや、知ってるけどさ。



ディオンに肩入れして、負けた時に自分の立場がどうなるのか分からないわけでもあるまいに。





「私が勝てば、そのお立場が無事で済むか分かりませんよ?」


「それはそうだね。けど、そうでもしなければ姫を手に入れることが出来ないのなら仕方ない。無論心配には及ばないがね。」



すんごい自信だなー。


けど、臆する私ではありませんよー。






「食事会では失礼した。」


「え?」


「君を怒らせるつもりはなかった。」



まさかこの人の口から反省の言葉が聞けるとは。


…謝る相手は私じゃないけどね!?