「ここまでの接近に、あなたが気付かないとは余程深刻なお悩みですか?」
「っ!!!」
天候に意識を向けすぎていた私は、背後から迫り来ていた人物に気付けず。
完全に間合いまで入られてしまった。
「エリク、様。」
気付いた時にはもう遅い。
間合いに入られてる上に、剣も忘れてきた。
私を屋上の壁に押し当て、ここぞとばかりに急接近するエリク。
「…何か、御用ですか?」
「愛しい姫には、用がなくても会いたいものなんだよ。」
「…御用がないなら私は失礼します。」
私は壁とエリクに挟まれたこの状況を打破すべく、抜け出そうと試みる。
…が。
エリクが両手で私の左右の進路を阻む。
「この好機を、私が逃すとでも?」
「何が好機か分かりませんし、是非とも逃していただきたいです。」
エリクはただただ笑っているだけ。
「戦の準備は整いましたか?」
「そうですね。後は最終調整くらいかと。」
「随分出陣の日を決めあぐねていたように見えますが?」
「問題ありません。私から陛下へお伝えいたします。」

