(一)この世界ごと愛したい





そう。


ただ、それだけのこと。




それだけを糧に、私は死線も越えられる。





「…じゃあ俺も頑張らなきゃ。」


「え?」


「君のお兄さんを治すために、最善を尽くすよ。」




そう言ったレンの顔は、まるで今日の曇天のようで。


簡単なことではないことは分かっていたけど、やっぱり困難を極めることを私も改めて認識した。





「レンからすればいい迷惑だよね。」


「どちらかと言えば君のその考え方が迷惑かな。」


「はい?」






「君の力になれるなら、俺は何でもやろうと思うし努力も惜しまないってこと。いい加減わかってほしい。」




その笑顔に。


真っ直ぐな、その目に。




私は経験したことがない程に、胸が締め付けられるような感覚に襲われた。