そう。
ただ、それだけのこと。
それだけを糧に、私は死線も越えられる。
「…じゃあ俺も頑張らなきゃ。」
「え?」
「君のお兄さんを治すために、最善を尽くすよ。」
そう言ったレンの顔は、まるで今日の曇天のようで。
簡単なことではないことは分かっていたけど、やっぱり困難を極めることを私も改めて認識した。
「レンからすればいい迷惑だよね。」
「どちらかと言えば君のその考え方が迷惑かな。」
「はい?」
「君の力になれるなら、俺は何でもやろうと思うし努力も惜しまないってこと。いい加減わかってほしい。」
その笑顔に。
真っ直ぐな、その目に。
私は経験したことがない程に、胸が締め付けられるような感覚に襲われた。

