あのままるうが目覚めなかったら。
ハルもるうも側からいなくなったら。
私はただただ怖かった。
「本当に…よかったっ…。」
私は廊下側で部屋の前に座り込む。
その目からは堰き止めていた涙たちが、次々へ溢れる。
ただの風邪だなんて。
頭のどこかではちゃんと分かってるし、レンがいるからきっと治るってちゃんと思ってる。
私の中で、ハルと同じくらいるうはかけがえのない人なんだと改めて思い知らされた。
「…リン?」
「あ、アキト…?」
どうやら婚儀の警護に限らず、王宮の警護もしているのかしっかり帯剣しているアキトが歩いてきた。
「どうしたあ?」
「あ…なんでもないっ…!」
私は泣き顔を極力晒さないよう、アキトから顔を背ける。
「おいおい。」
「うっ…。」
私の頭を掴み、無理矢理自分の方へ向かせたアキトはそのまま私の頭に手を乗せる。
「泣いてんじゃねえか。」
「もう泣き止むとこ。」
「一体どこの誰だ?レンか?」
誰に泣かされたんだと、アキトは私に聞くけど。
別に私が勝手に一人で泣いてるだけで、誰が悪いわけでもない。
「私が、悪いの…。」
「はあ?」
「もう、大丈夫…です。」
「…はぁ。トキに怒られたばっかだってのに。」
アキトは自分の頭をガシガシと掻いて、座り込む私と同じ目線になるよう座る。
「泣き止ませてやろうか?」
「へ?」
アキトはそう言って、私の額にキスを落とす。

